撮り方

構図

アップの場合

 富士山山頂の上下位置に注意しましょう。初めて撮ると、必ずと言っていいほど富士山山頂が画面の中央にきて、空が半分くらい入った間の抜けた写真になってしまいます。空の部分が1/3〜1/4程度になるようにフレーミングしましょう。

前景がある場合

 前景を出来るだけ大きく撮るようにしています。一面の花畑でも、何の花だか分からないぐらい小さくては迫力が出ません。撮りたい物を大きく撮るというのが基本です。

 前景(木、花)と富士山の位置関係(バランス)を考えてフレーミングしましょう。カメラの高さを変えると全然別な写真になる場合があります。立ったり座ったりして眺めてみましょう。

逆さ富士

 これも富士山と湖の境目が画面中央にきて、上下完全鏡像になりがちです。私もそうなってしまいます。意識的に空の面積を多くしたり、湖を多くしたりしてみましょう。

 おもしろい形の雲や、空一面の雲が出ている場合、広角レンズを使いたくなりますが、富士山が小さくなりすぎることがあります。富士山を出来るだけ大きく撮ってなおかつ、色々な雲が入るように富士山を画面の隅に追いやってみたりしてみましょう。

富士山の位置

 富士山が画面中央にくると平凡な写真になってしまいます。とにかく富士山が画面中央にきてしまわないように注意しています。

縦・横

 富士山は横位置で撮る人が多いようです。これは末広がりの山だからでしょう。でも、必ず縦位置の構図も考えてみましょう。横位置では邪魔になる電柱等がカットできたり、富士山の高さが表現できたり、花畑の奥行きが出たりする場合もあります。

画面の水平

 すばらしい風景に出会うと、我を忘れて撮影し、後で見ると水平が出ていないことがありませんか?逆さ富士では致命的です。夜明け前や、夕暮れは特に注意が必要です。水準器付きの三脚を使でば、こういう失敗はかなり防げます。ファインダーを方眼タイプにすれば、水平だしも楽だし、構図を決める上でも参考になります。

カメラの撮影モード

 私は作品として写真を撮るときは、カメラ任せのプログラムオートでは絶対に撮影しません。これでは、カメラが勝手に絞り・シャッタースピードを決定して撮るので、ただ単に写真が撮れたにすぎないからです。撮れたのではなく、撮ったと自慢できるようになりたいと思ってます。 撮影意図を持って撮らないと上達しません。風景でもそうですが、写真はピントの合っている範囲をコントロールすること(前景から背景までピントを合わせるのか、メインの被写体のみ合わせて他はポカすのか)が大切です。風景を撮るときは、絞り優先モードで撮っています。

 

絞り・露出(シャッタースピード)

 たいていのレンズは絞り開放よりも 少し絞った方がシャープに描写できます。ですから夜景を撮るときでも絞り開放では撮りません。絞れば絞るほどシャープに写るというものでもなく、レンズにはそれぞれ描写性能が良い絞りの範囲があります。

 前景があって奥に富士山がある場合は絞り込んでます。一面の花畑と富士山、木や霧氷と富士山という構図の場合などです。画面全体にピントを合わせたい場合が多いので、f22とかf32 まで絞っています。当然シャッタースピードは遅くなります・その結果、風が吹いていると、花などがぶれる場合があります。泳いでいる白鳥も結構速いので、こちらもぶれます。こんな場合は、被写界深度を見ながら絞りを開け、シャッタースピードを速めます。もしくは、ISO感度の高いフィルムを使うこともあります。

 花のアップと富士山を撮る場合、花をメインに富士山をぼかす場合もあります(私はあまりこのような撮り方はしません)。こんな場合は、絞り開放近くで撮ることもあります。カメラのプレビューを使って、ぼけ具合を確認しながら撮ります。 

夜景では f5.6 を基本にしています。星を撮るときのみ絞り開放にしています。夜景ではカメラの露出計は働かないので、フィルム感度がISO100の場合、f5.6 で10分、20分、30分と露出を変えて撮っています。

 

測光モードと露出補正

 カメラの内蔵露出計は、露出を計っている部分の平均が18%グレーになるように設計されています。これは、新雪のような真っ白な物を撮っても、真っ黒な物を撮っても、18%の灰色になるようになっているということです。スキー場で撮った写真で、雪の色が白ではなく灰色だったり、卒業式での学生服や、結婚式での礼服が黒ではなく灰色になったりするのはこのせいです。白い色を白く、黒い色を黒く撮るのは、実は難しいのです。

 画面の中に明るい部分や暗い部分がある場合、その量にも依りますが、露出補正が必要になります。いまのカメラでは一部の機種を除いて、被写体の色を考えて露出を決定する機種はないので、露出補正が必要です。

 今の一眼レフにはたいてい、測光モードが三つあります。スポット測光、中央部重点測光、評価測光(分割測光)です。それぞれ特徴があるので良く取扱説明書を読んで、理解しておく必要があります。

・ スポット測光

 画面の中央の狭い範囲のみを測光するモード。朝焼けの富士山で、頂上部分のみに日が当たっていて、あとは真っ黒につぶれているような場合、日の当たっている部分の露出を計れば良いでしょう。

・ 中央重点測光

 撮りたい物は画面中央にある場合が多いと言うことから、画面の中央部分に重点をおいて測光するモード。ちょっと前の中判カメラはこの方式が多かったので、そのころの作品を見ると、このモードで撮っている例が多いです。また、これに慣れている人は、最新カメラでもこのモードで撮っているようです。

・ 評価測光(分割測光)

 画面を6〜数十に分けて測光し、カメラが自動で判断するモード。画面の中に一部分だけ明るい、あるいは暗い部分があると、これは無視して全体として露出を決めます。快晴の昼間とかはこのモードで問題ありませんが、朝焼け・夕焼けでは注意が必要です。富士山の山頂にのみ日が射している場合など、この部分は明るいので無視して、それ以外の場所が適当な露出になるようにシャッタースピードを決定するので、かなりオーバーな写真になることがあります。このような場合、-2EV〜-3EV の補正が必要な場合もあります。

・ 露出補正

 補正の量は、測光モード、測光場所で決まるので、一概にこんな場合はいくら という風にはいえません。従って、補正量を変えて何枚か撮っておくと あとで後悔しなくてすみます。基本的には、画面に暗い部分が多い場合は マイナス補正、明るい部分が多い場合はプラス補正と覚えておくといいでしょう。

 富士山山頂にのみ日が射して、あとは暗い場合、ダイヤモンド富士の場合などは、画面に暗い部分が多いので、マイナス補正をします。雪景色などは、明るい部分が多いのでプラス補正をします。

 補正量はカメラによって、1/3、1/2ステップかが異なりますが、何段階か撮っておきましょう。カメラの補正幅が±3EVまであると言うことは、それだけ必要な場合があると言うことです。

 どうしても露出に困ったら、昼間であれば青空を計ればOKです。青空を基準にプラス側とマイナス側を撮っておけば 大抵の場合はなんとかなります。 

 

フィルター

 風景撮影では、PLフィルターは必需品です。ですが、効きすぎることもあるので、注意が必要です。必ず効果をファインダーで確認しながら撮りましょう。PLフィルターは、太陽に対して90度の方向が一番効果が出ます。従って、完全な順光・逆光では効果がありません。朝焼け・夕焼けの時も効果が出にくい場合があります。こんな時は外しています。広角レンズでは、画面の左右で効果が異なる場合もあるので、注意しましょう。